ホワイトアウト〜腹いっぱいのJ-POP

たまたま『朝日キーワード2008』を買った。何回開くかわからないのに考えてみりゃもったいない話だ、とかはさて置きその中身。装いはともかく項目の立て方とゆーか切り方/整理の基準がだいぶ変わった印象。
例えば、【文化】のかたまりには、Wii(ウィー)、「千の風になって」、「おしりかじり虫」、映画続編ラッシュ…「ちゃお」文化、ご当地検定…などの項目が並ぶ。各項目には「関連用語」がまとめられている。「千の風になって」の場合だと、カバーアルバム・昭和メロディー再評価・おふくろさん問題。


10年以上前従って前世紀の話だが、同じ朝日キーワードを立ち読みしていると『文化』のカテゴリーには『旧ソ連圏の現代音楽』か何かいう項目があって、アルヴォ・ペルトなどの作曲家が日本盤で入手可能な音源とともに紹介されており面白いと思ったことがある。自分は、朝日キーワードをはじめとするなんとかキーワードの購入者層*1についてはよく知らないけど、何となく、就職試験などの一般常識問題とか面接対策用といったイメージを持っていた。
にしては、そういう場面で面接官がいきなり
「キミはペルトのヨハネ受難曲を聴きましたか?」
などという話題を振ってくる可能性は限りなく低そうだし、ヘンなとこに力入ってて面白いなと。


2008年版では、そのへんがスッキリと切り捨てられている。無駄がないと言えば無駄がないし、潔いと言えば潔いのだが、結果、トータルの印象は、そこはかとなくJ-POP*2。確かに音は鳴ってるし、しきりに言葉が発せられるのだが、実のところこっちは何も聴いてない。といった風情。のっぺらーっと。
無理やりまとめるなら、ここで切り捨てられるような情報は再びアングラ化…というよりインビジブルに透明カルチャー*3化していってる。てことだろう。フラットな情報環境下でそういうことが起こってるのね、という当たり前の話。注目すべきものは、どんどんどこかへ行ってしまいました、と。
そんなこんなで、核心部分求めてらっきょの皮剥いていっても、きっと何もないよ。ホワイトアウトへ!

*1:自分のように、仕事その他の資料として購入しました。といった人も当然含まれる訳だが

*2:ここで自分が言うJ-POPには、きょーびの20代が言うR&Bもブラコンもその他諸々も、もしかしたらまとめて含まれる

*3:敢えて再度“オルタナティブ”とか言ってみたい