パイレーツ・オブ・イルミナティ(ダカーポ)

Do what thou wilt shall be the whole of the law


梅雨の候 <この夏はイルミナティ三部作でキマリ!>

 『ピラミッドからのぞく目』を読んで以来、バヴァリアン・イルミナティとは何なのか気になって仕方がない/バロウズの『シティーズ オブ ザ レッド ナイト』を読んだおかげで、キャプテン・ミッションとは何者か知りたくなった…両者の共通点は、唾棄すべき崇高な伝説への嫌悪と憧れ。
 それは1776年のメーデーに、バヴァリアインゴルシュタットで、元イエズス会士アダム・ヴァウスハウプトによって創設されたの/1848年に起こった一連の革命に先立つ百年前海賊のコミューンによってすでに成文化され、実行に移されていた。以下は、そのへんの本からのテキトーな引用または出まかせ。取り返しのつかない勢いを大切に。

 抗生物質が効かないウイルスに対しハチミツが効果を発揮したというニュースがあったが、これはもともとヒポクラテスの医術書に紹介されていた治療法であり、決して新しいものではなかった。古かろうが新しかろうが、そんなことは少しも問題じゃない。大切なのは効果そのものなのだから。…もっともな言いぶんだが、私の関心事は少し違うところにある。すなわち、このニュースが、人々の<過去の捏造と未来の復元>への情熱に拍車をかけるやも知れないということ。願わくは、内臓系−神経系−拡張神経系を自在に行き来しつつ、新たなコンテクストの見出されんことを。
 エイズウイルスやエボラウイルスが、密林の奥から出現したものであったとしても、お約束的に米軍の研究施設から漏れ出たものだったとしても、人類の歴史に対する復讐やお咎めのメタファーとなり得ることに変わりはない。コントロールを脱せよというメッセージの意味は、コントロールする主体として何を想定するかにより変わってくる。かくして数々の仮定が行われたが、近年はっきりしてきたのは、どうやらいずれも間違いだったらしいということ。中心のないネットワークなんてものが普通にはイメージできない理論上のものでしかなかった時代と2007年現在とでは、MAGICKのパラダイムも当然変化してしかるべきだろう。



 典型的なボット感染の症例を示しているあなたが、ボットウイルスの恐怖をこんこんと説き続ける不可思議。



 こんな時代に陰謀論ですか? こんな時代だからこそ! で、イルミナティはどっち側? だから、“どっち側”という判断自体が意味をなさないんだよ!

 <PAN=汎=ALL=全体を召喚せよ>

 現実的な仮説もある。それによれば、イルミナティのルーツ(あるいは外陣)とも言えるフリーメーソンの前身は16世紀以来急速に発展した、各地を渡り歩く職人たちを職種別にまとめた同職組合であるという。しかしながら、この二つの団体の間にはいくつか共通のシンボルがあるとはいえ、直接の関係は一切ない。それはテンプル騎士団との関係にも言える。のだとか。
 一方、18世紀の海賊船は全地球にまたがる「情報ネットワーク」とでも言うべきものを作り上げていた。原始的で、何よりもまず残酷なビジネスのためのものではあったが、そのネットは見事に機能していた。島のいくつかは「目的をもった共同体」を維持しており、それら小規模なコミュニティのすべてが、たとえそれが短くとも、あるいは幸福な生活のため“だけ”にであっても、意識的に法の埒外に生き、それを継続することを心に決めていた人々がいたということである。

 「われらがもとに来たれ、そして同盟規約のもとで生きよ」

 しかし300人ほどの人数からなるキャプテン・ミッションのコロニーは、原住民の奇襲によって掃討され、彼はこのあとまもなく海の戦いで殺されてしまった。西インド諸島中南米にもこのようなコロニーがあったが、人口が少なすぎたせいで攻撃に持ちこたえられず維持は不可能だった。ハキム・ベイは、それらの居住地を「海賊のユートピア」と名づけた。ブルース・スターリングは近未来小説『ネットの中の島々』を発表した。つまるところそれらは、労働者自身が所有する会社、「データの海賊行為」のための独立した小領域、「自然保護団体による社会民主的な」小領域、「ゼロワーク」の小領域、アナーキストの解放ゾーン等々。

 販売店ではいちいち誓約書を取っていた。本ソフト使用によって起こるいかなる結果に対しても当店は一切責任を負いかねます…起動した途端マシンは粉々に…パンティグーグルと並ぶベストセラー(または弥生会計シリーズとそっくりのパッケージに入った)ハナタラシとは、そういうソフトだった。

 かくして21世紀。気が付けば、ガンジス川の真砂より(理論的には)数多おわする島宇宙の、または趣味の蛸壺同士の交信/交通ということが、現実の課題ないしはネタとして静かにかつさかんに行われているという事態を迎えていた。意識の問題という最も大きな障壁を残しつつ…。しかも、傑作なことにそれはどちらかと言えば“オタクサイド・オブ・ザ・ムーン”から始まったようだ。

 「わたしを月まで連れてって」

 トゥルトゥーガからポートロイヤルへ。下着姿のリア・ディゾン(2007年だから)。原住民の襲撃は一時的自律ゾーンの不可能性を証明したか? 石工集団は、複雑な関係性の処理を、空間のアナロジー(直喩としての建築)を駆使することにより比較的簡単にかつ正確に行っていた可能性がある。リバーシブルタイプのリア・ディゾン。ディア・リゾンでもかまわないんじゃないかという気がしている方はきっと多いと思う。モチーフは無限だ。

 <ハチミツ効果の発見と、それらを立証する文脈の創造>



 雨が降っている。濁流の中をワニが泳いでいる。





(錯乱のニューアイオン汎歴2007年6月)


Love is the law, love under will























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