システム手帳ルネサンス

何で[街/風俗]か? 昨今、システム手帳は「いけてるアイテム」の一つとして注目されているらしいので、正しくそうさせてもらった。
思い起こせば、80年代に1冊目のシステム手帳を購入した動機も…欲しかったから買ったまでだが、欲しかった理由は、何となくかっこよかったから。以外にない。
当時の自分は、とりあえず社会人を始めてはいたものの、仕事上そのようなツールを切実に必要とした覚えはまったくない。そんな訳だから、当時の自分にとってのシステム手帳と、今の自分にとってのそれとは、ほとんど別物と考えた方がよさそう。バイブルサイズ*1という中途半端な判型のモノを今も愛用しているのは、単に最初に買ったヤツを使い込むうち慣れてしまったから。それ以外に理由はない。
私の記憶するところでは、当時システム手帳愛用者のおねいさんは、必要以上にタイトめなスカート(またはパンツスーツ)を着用しているケースが多かった*2。ファイロファクスの機能がいかに優れているか、但し、使いこなすにあたっては自分仕様にカスタマイズしなければ意味がないこと、などなど長々講釈たれつつ、ついさっき自分がとったメモを見つけだすのにえらく時間がかかってしまうといった愉快なおじさんもいた。



そんな訳で自分は、当たり前の話だが、2007年現在のシステム手帳のカッコ良さに対して、10〜20代のお前らと同じようには向き合えない。取り敢えず、80年代的<できる人の演出>といったセコイ芸とは関係ないような気はするけど。万年筆のかっこよさとも違うし、何だろうコレ…。

とか言いつつ、ここは一発システム手帳ヲタとして正しくオーダーしとこうと思わせる本*3がある。

<パソコンとの連携>や<夢実現手帳>としての使い方が重視されている(らしい)あたりがいかにも今日的。なるほどそんなワザがあったか! と感心するか。今頃何ゆーてんねん! と呆れるかは読んでみないことには分からないが、きっと面白いだろう。と、タロット広げて占うまでもなくかなりの確率で予測できる。
そして、最近デビューされた、もしくはこれからめでたくシステム手帳デビューを飾るみなさんには、せっかくだから、<PADでは絶対無理>な部分でガンガン活用してほしい。そのへんで…例によって整理はできてないけど…何かのはずみで参考になりかねない話。



10年ほど…もーちょっと前だったか、アメリカのTIME誌が、もう印刷ヤメようか…みたいなことを言い出したことがあって。閲覧用の端末を配布し、あとは毎週データを配信するというかなり本気の作戦だったらしく、試作機で結構大掛かりなモニタリング調査をかけた。そこで吸い上げた意見を反映して試作機を改良の上、プランを実行するつもりだったのだろう。ところが結果は…そう、ご想像どおりの大コケ。
「こんな形態になるんなら購読ヤメるゾ」
と、酷い反発を食らったらしい。何でそこまで? 
<電子TIME>の致命的なデメリットというのは<パラパラめくり>つまり<雑誌的チラ見zapping>ができないことだったと記憶している。
今となっては考えなくても分かりそうな当たり前の話だけど、当時の一流企業のエライさん(しかもメディア!)は、戦略的にそんなお茶目さんを考えかつ英断しようとしていたということ。恐るべし。




C.S.的には、システム手帳のコワさ(であり魅力)は、究極<サイズによる強制力>だと思う。なんのかんの言ってデータ容量の大小と違い、紙の判型は決定的だ。これが効率的な使い方を生み出す条件づけとして機能することもあれば…ま、何かとマイナス面もありますわな。おそらくはすべての人間が、<よろず規定を拒む気持ち>と<規定されたい願望>の両方を抱えているであろうことを考え合わせると、コレはなかなかに面白い特徴だと思う。





(あと、文学/アートがらみで<魔術的リアリズムの復活>とかに関して、忘れないうちにメモしとこうと思う)

*1:セレマイトとしてまったく不徳のいたすところですが、当時の自分は「法の書サイズ」を探す努力をおこたったことをここにカミングアウトしておきたい。さがしてもなかっただろうし、「法の書」の存在自体知らんかったけどね

*2:個人的な印象に過ぎないので実際とは違うかも知れない。ヒマで死にそうな人は、80年代トレンディドラマや各種統計資料(何のや?)を手がかりに研究してみるのも良いだろう

*3:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774127795/qid=1146213610/sr=1-7/ref=sr_1_10_7/250-0273596-6094673