ブランデーソーダの夜

 バーでブランデーを注文する人を見た記憶が無い。そういう店に行かないだけかも知らんけど。でも、少なくともここ日本では、あんまりカッコイイ酒じゃないのは確か。
 80年代のバブル崩壊とともにブランデーは格好悪くなった。という話がある。その時期にブイブイいわしていた成金オヤジが歳の離れた愛人を侍らせ、好んで飲んだ酒がブランデーだったから。…一理あるかも知れないが、いつまでも引きずりたくない風俗事情だ。へえーそんな時代があったんだ! という青少年にはハナから関係ない話だが、そんなこと気にしていたら、全ての父親は、永久に娘と並んで街を歩くことができない。
 上品な香りとソフトな口当たり…ブランデーは決して下衆な酒ではない。カッコよく、あるいは普通にブランデーを飲むこと。文化的次元においてバブルを克服するというのは、そーゆーことだ。これから夏に向けて、ソーダ割りなんかどうだろう?



こないだ貼り間違えた「世情」




 余談。風俗のバックスクロールについて。
 学生時代とか子供の頃とか、「あの頃」流行っていたあれやこれやを懐かしむ。そんな企画がある。昔からあった。いろんな世代へ向けていろんなエディトリアルが提示され、そこそこ商売になっていると聞く。当たり前だ。否定するつもりはない。「あの頃」の感じ、考えていたこと、未解決の課題…それらをいつでも好きな時に喚び出すための秘密の鍵を持つことは、魔術的見地からも当たり前に好ましいことに違いないからだ。
 しかしながら自分は、どうせならリアルで知らないところへのダイブをお勧めしたい。できれば生まれる前の時代へ! とは言え、いきなり「風俗レベル」で中世や古代を纏うのは至難の業かも知れない。敢えて挑戦するなら、「風俗史研究」という学問として、あるいは一種のコスプレとしてアプローチするしかない? いや、魔法ってのはね…まあまあ、ゲルニカでも。(純ちゃん大好きキャンペーン実施中)