時間と安全〜隠す・暴く・伝える〜

 関西大学の社会安全学部及び大学院社会安全研究科開設記念シンポジウムに行ってきた。「時間と安全」〜安全・安心を時間の視角から科学する〜というのがそのテーマ。内容については省くが、別段突っ込んで専門的な問題のみを扱っていた訳ではない。にしては高校生の姿が見当たらないのはどういうことだろう。誰に向かってやっているのか? よく分からないイベントであった。しかし、今後ますます重要な分野には違いないし、今からこーゆーとこでそこそこ真面目に勉強しておけば、将来そっち方面の仕事に就ける可能性も高いんじゃないかな。って何で俺が宣伝したらんとアカンねん。ま、それはそれとして。隠すこと、暴くこと、伝えること。
 学部長に就任予定の河田教授が挨拶の中で指摘されていたが、専門家筋によると、例えば、大阪南港の咲洲(さきしま)は、年に1メートルのペースで今後も沈み続ける見込みらしいが、このテの情報は住民に知らされていないし、メディアも取り上げないうんぬん。
 …ここらへん、大阪以外の方には若干説明がいるかも知れない。南港と言えば海遊館なんかが全国的に知られているが、実はこのエリア、地元ではバブルの象徴、否、未だバブルの処理が済んでいないエリアでもあって。一部スポットを除いて、どちらかと言えば、ずっと「なかったことにしておきたい」という、漠然と何者かの意志が働いているかのような地域。橋本知事が府庁舎移転案などをブチ上げてちょっと注目が集まってしまったが。
 日本のようなゴチャゴチャとせせこましい国で、しかも大阪で、特定の地域を「なかったことに」するなど無理な相談だが、これが「歴史」上のトピックとなると事情が違ってくるんじゃないの? ぐらいの想像力は、年の瀬で忙しくても特に陰謀論オタクでなくとも働いてしまうところだろうと思う。働かせましょうよ。分かりやすい例としては、大正〜昭和の大本事件とか二次大戦後GHQの政策とか…。



 そんなこんなで、日本とか歴史とか文化とかをテーマに、新書と文庫でリーズナブルに。


さあ、キミも苫米地理論でイルミナティになろう! じゃなくて、まずは、日本という国に生まれ育った人間として、自分がどんな「洗脳」を受けてきた可能性があるかという話。全部目を通すのがかったるい人は、GHQ占領政策サンフランシスコ講和条約を問題にした最終章だけでも、ぜひ。今や勝間和代さん並みにいっぱい出ているドクター苫米地の著作だが、1冊だけお奨めするとしたら自分はこれ。


オリエンタリズム 上 (平凡社ライブラリー)

オリエンタリズム 上 (平凡社ライブラリー)

オリエンタリズム下 (平凡社ライブラリー)

オリエンタリズム下 (平凡社ライブラリー)

西洋文明の歴史に現れたHeathen Earthもとい「オリエンタリズム」とは? 911の遥か以前、パレスチナ人である著者は、西洋知の政治的偽装を暴き、西洋と東洋の対立は捏造であることを指摘した。もう一つの大切な要素である「憧れ」については充分に書かれていない。
ユダヤ教カバラを学ぶ人には、同著者による「文化と帝国主義」「パレスチナとは何か」もおすすめ。

日本流 (ちくま学芸文庫)

日本流 (ちくま学芸文庫)

単行本刊行時のサブタイトルは「なぜカナリヤは歌を忘れたか」。
大正期の童謡を入り口にした一種のレトロアクティブ・マニフェスト。これをネタに、自分は何を受け継ぎ伝えていきたいのか、など年末年始に考えてみるのも一興。

公案―実践的禅入門 (ちくま学芸文庫)

公案―実践的禅入門 (ちくま学芸文庫)

師家は、その昔ビートニクのカリスマないしはアイドルとして知られた “ドクター・ダイセツ=スズキ”の教え子であり、20世紀現代音楽(ヘンな言葉!)の巨人ジョン・ケージとは禅つながりの兄弟関係。
公案とは、クロウリーが弟子に課題として「図形」を渡したように、臨済禅の師家が修行僧に出題した「言葉」の課題。
公案の紹介だけに止まらず、禅的瞑想指南の章が含まれている点も嬉しい人には嬉しい。漢文アレルギーで「天台小止観」を放り出してしまった人も、これなら読める!



今日の「同時再生推奨」