3D元年の4D魔術

 3Dテレビ? 何だよ急に。3Dの本が流行ったのってかなり昔だよね。あれ、ちょっとしたコツがあって僕はエンエンできなかったんだけど、ある時二次元の平面に印刷された何かがグワーって立ち上がった瞬間はホント感動しちゃったよ。見える奴にだけ見える世界みたいな。めがね掛けさえすれば誰にでも見えるなんて、そんなのぜんぜんつまんねーよ。そのへんの奴が3Dなら4Dを目指さないと。1次元上を行くのがダンディってもんさ。ほら、僕を見てご覧。今、君の<愛>によって4Dで立ち上がって見せるから。ははは、カンタンだよ。何でもないって。まず、コンバースの、別にコンバースでなくてもいいんだけどさ、バスケットシューズを2足買う。色は赤と緑。これを左右色違いで履く。するとほら、もう僕は、君にとって違う次元の存在だ。
 そう言いながら少年はガードレールの上で煙草に火を付け、補導された。何でそんな馬鹿なことをしたのかと問い詰められて答えたそうだ。
 すいません。まさか、めがねを掛けてない人に見つかるとは思わなかったです。