アストラル建築試論(2)
 さて、魔術が行われる空間は、魔術のためにのみ存在する自称魔術師の専有空間ではない。いつだかよくわからない大昔の話はしていない。魔術が、必然的に魔術以外と境界を接し、重なり、交差している以上、今・ここからの、魔術以外をも含む<すべてと>の、高速で絶え間なく変化し続ける「関係性」の認識こそが、魔術の第一歩ということになる。それらすべてを正確に写生せよという話ではない。描くべきは、デザインするべきは、アストラルな建築。すなわち、リアルの建築と同様『様々な領域や境界を意識/整理した上で、それらの関係性を制御する装置』と定義できるものである。
 「これが私の理想とする制御装置だ」
 そう言い放ち、意図的に何も建てないという選択も、もちろんあり得る。