フラット/オーガニックのダブルカレントについて

建築やインテリアのデザイン傾向として、虚飾を廃しシンプルな垂直水平ラインを旨とするフラット系/自然の生命力そのものをテーマにしたような有機的なフォルムのオーガニック系という正反対の潮流が並立している現状。メディアが、街が主張しまくるこのダブルカレントってどうなのか。まあね、フラットかつオーガニックというスタイルの空間だっていくらでもある訳で、例えば、いわゆる北欧調ってそんな感じではある。フラットかつオーガニックでサウナでデスメタルそしてトナカイの肉を喰らうバイキングたち…。どうだ参ったか、このしっちゃかめっちゃか加減がエリスちゃん好みんなんですよ。だが、C.S.的にはイケアとイケヤの間にほとんど価値の差を見いだすことができず、そんなことはどっちでもいい師走だったりする訳ですが、電車の中で建築を学んでいる学生とおぼしき二人組の会話を聞くとはなしに聞いていると、ああ何処も同じ、際限なく閉じていく魔術おたくのごとき感性が跋扈する師走。言っておかんければならんことがある。オーガニック系を好まない人間=効率ばかりを追い求めるあまり身体性や精神性をないがしろにする非文化的な人間ではない。建築に取り入れられた有機的フォルムそのものは、それ自体は、キミたちの身体性も精神性も生物としてのトータルな生命力も…大切なものを何ひとつ取りもどしてはくれない。ガラスカーテンウォールのビルがそれを利用したり目にする人間のメンタルな閉塞状態をどうともしてくれないように。ねえキミたち、魔術なんかヤメとこうよ。建築なんかヤメとこうよ。。。。。
 
さて、つれないぐらいにそっけないハイパーフラット空間に噴出する過剰な霊性のイメージが視覚化された本。後半のCGなんか、まさにそう。あかり文化創造プロジェクトによる労作。
ハイパーフラットMAGICKは、シンプルな空間が照明演出でイキイキと多彩に表情を変えていくような、<場>と<霊性>の良い関係をコーディネートすることから始まる。<霊性>を光のアナロジーで捉える人は多いと思う。霊性が噴出する<場>の方は、テンプルとか神殿とか言うぐらいだから、もともと何らかの構造物の内部空間である場合が多かったんだろう。
という訳で『あかりパルティータ』*1、MAGICK書として推奨。


ちなみに、究極のハイパーフラット音場に霊性そのもののインプロヴィゼーションが噴出する阿部薫『彗星パルティータ』*2amazon japanで買える。
禁煙? 何のことだ。

*1:

Light & Shadow あかりパルティータ

Light & Shadow あかりパルティータ

*2:

彗星パルティータ

彗星パルティータ