都会派の貴方へ、読書感想文的(1)

大きな物語ならぬ<大きなデザイン>が難しい。これ、ニューアイオン・ジャパンの特徴の一つです。店舗デザイナーの限定的なアイデアは実現しやすく、建築家の壮大なビジョンは頓挫しやすい。独創的な個人邸が増える一方、ある程度以上の広さのエリア再開発、中でも<都市>のデザインは苦戦しているように思われる。<醜い都市でカッコイイ椅子に座っている俺の図>が象徴するように、個人の自由になる範囲が狭くなっているのか? 個人の自由が保証されない(あるいは保証されていると信じ込まされている)領域に、ブランドは機能すれどもデザインは機能し得ないのか? この調子でデザイナーズ住宅はデザイナーズルームとなり、そのうちデザイナーズ便座カバーに行き着くのだろうか?


隈研吾・清野由美『新・都市論TOKYO』集英社新書

人々の欲望が都市を動かし、都市をつくる。その動力と、そこに予め存在するもしくは生まれるルールとの相関性とは? また、その現場において巧みに大胆に規制(権力)をかわす(出し抜く)アーティスト(不良)のクリエイティビティとは?
…みたいなことが書いてあるのかとチラとでも思ってしまった自分が恥ずかしい。

(つづく)