プチ・ヴィクトリアンからユニバーサルデザインへ

ヴィクトリア朝と言えばポルノ文学などのエロゲー(ゲージュツ)ね。ヴィクトリア朝的日本の西洋魔術界隈*1でもそのへんは結構盛んで、我こそはスーパーフラット風俗文化を底辺から支える者なりと自負する人も相当数いらっしゃる筈。ゲームをやらない私は、このへんまったく疎いながらも、常識として何となく知っている。けどまあこの機会にと思ってグーグル検索で「魔術好きのエロゲー(ゲーム)作者」がどれぐらいいるのか調べようとして、即ヤメた。アホらしなったから。だいたいエロゲーに夢中であることがバレても社会的にさほどマズイこととも思えない以上、その程度の抑圧がエロ文化興盛のトリガーとしてどれほど有効か知れている。まあ、プチ・ヴィクトリアンなノリが結果的に『快楽の書』(http://www.geocities.jp/kerzenmeister/bkofp.html)などが読まれるのにちょうどいい感じの状況を召喚したのだとすれば、それはそれで喜ぶべきことに違いない。とゆーことで次。

ユニバーサルデザインの話をしよう。今日の日本において、生まれ育った街から一歩も出ることなく死んでいくなど、よほどの事情がない限りまずあり得ない。生活拠点だって変わるし、観光や仕事その他の事情で、海外を含む地域間の移動も盛んだ。このような状況下で、土地の信仰や神格と、その土地に暮らす人との霊性的関係はどーゆーことになっているのか。巨石や大木などのご神体を飛行機や新幹線に持ち込むことは許されていない。アマツカミとクニツカミがどーしたといった小さな話ではなく、このへんの当たり前に大切なことを、当たり前に考えてみましょうよ。何年か前に私は、そんな趣旨の駄文を書いてみようと思い立ったが、結果として何が言いたいんだかよくわからないヘンテコなものとなってしまった(http://ifuck21.at.infoseek.co.jp/cib.html)*2
改めて、スピリチュアルの領域におけるユニバーサルデザインの話。私は、MAGICKに即応用可能なアイデアのルーツを見る*3。エジプト神話とヘブル語アルファベットやエノク語がごっちゃになった黄金の夜明けの体系しかり。更には・・・。
クロウリーの魔術体系はギクシャクしているという記述を何度か目にしたことがある。なるほど、彼の残した万物照応表には意味不明の箇所が多いが、原因の大部分は読者である私の理解力の低さにある。でも、さすがにこれ苦しいんでないの? てな箇所もあり・・・細かい話は面倒くさいからヤメとくとして。クロウリーのMAGICALシステムについて、こんな感じ(http://www.geocities.jp/kerzenmeister/crowley.html)の感想を持たれる人は多いようだ。でも、ちょっと待て。C.S.的には、これこそが、スピリチュアルの領域における初期のユニバーサルデザインそのものだ。笑えるところがあるのは当たり前だろう。私が全ての魔術ファンに問いたいのは、現在の自分が置かれている状況に応じて、それを絶え間なく更新し続ける意志があるのかないのかということだ。
社会学方面のボキャブラリーに< アイロニカルな没入>というのがある。醒めつつ、半ばアホにしつつも魅入られてしまうみたいな状態か。ソビエト連邦解散に伴い、そのへんの地域のロックミュージックの音源が大量に出回った時も、そんな態度で大喜びしながら聴く連中が多かったと記憶している。私は、このような態度から本当に価値のあるものが生まれるとは思っていない。それどころか、単に<アイロニカル>な態度が、例えばオウム真理教の誘惑のような場面においても*4無力であったことは歴史の証明するところとされている。ショー小杉の忍者映画が海外でブレイクした時代、日本人の多くはそれらの映画に出てくるヘンテコな忍者や日本を、大笑いしながら喜んでみていたと推測される。だが、彼らの考える<正しい忍者><正しい日本>とは何だったのか? 何となくわかってるとは、何となくしかわからなくなってしまっているということにほかならない。ちなみに小杉氏は、アメリカ人たちの< アイロニカルな没入>の結果、ビバリーヒルズに邸宅を建てた訳ではない。単純にかっこよかったからだろう。
【まとめ】
1.プチ・ヴィクトリアンな霊的道徳も、その反動としてのエロパワーも、いい加減もういいでしょう。
2.そろそろ、スピリチュアルのユニバーサルデザインを。
3.アイロニカルな態度からは、アイロニーしか出てこない。
以上

*1:特に童貞〜と思われる〜の方の場合について顕著だが、日本の自称魔術師…と言うより魔術に関心のある人の多くは動機がエロいように思う。童貞の性魔術という画期的な新ジャンルが生まれるのも時間の問題かも知れない。むちゃくちゃコワイけど、そこがオカルトてことで

*2:ジェネリック・シティという言葉の生みの親…かどうか知らないけど、流行らせた張本人レム・“頭もライトニング”コールハース氏へのリスペクトを込めつつ。しかし、、、、、BGMにたまたまルー・リードを選んだこと、いただきもののラムが異常に旨い海賊味だったことなどもかなり影響していると思われる

*3:やっぱり生命の樹でしょうてか? 私の場合は、大まかなグランドデザインとしてThelemaの宇宙観を借用している

*4:当然“魔術”の場合にも同じ事が言える