新カテゴリー

根拠の薄い暮らし快適的惹句の嵐に長時間晒されていると流石に頭おかしくなりそうなので、新カテゴリーをつくってみた。で、どうしようか。 結婚したとき、友人の一人が何を思ったか、お祝いだと言って『カリブ海の海賊たち』という本をくれた。以来、私の暮らしは海賊とともにあると言っていい。
「暮らし」というと、『暮らしの手帖』の「暮らし」、おばあちゃんの知恵袋的日常のチップス集もしくは経済的な側面から捉えたオフの時間を中心とするライフの話みたいなものが連想されるが、どうせならここではもう少し違った切り口を考えたい。人はパンのみにて生きるにあらず、パンの耳でも生きられる。パンを召還しつつ、パンとともに生きることだってできるのだから。
「海賊」には、ロマンチックな悪とハードボイルドなならず者のイメージがある。でも実際のところは、いきなり夢を壊すようで申し訳ないが、ラム酒のブランド名になったモルガン船長だって、英国政府雇いの言ってみりゃ国家公務員みたいな奴だった。せめてフリーランスであってほしかったか? そーゆー不平は本人に直接言ってもらうしかないな。
ヨーロッパ諸国では、植民地政策先進国のスペインに対抗するため、そっち方面の後進国(イギリスとか)が海賊をバックアップしたり召し上げたり、場合によってはそんなデンジャラスな部署イヤですよと言ってる人にムリヤリ海賊をやらせたりした時期があったらしい。勲章や爵位も乱発され、時代のどさくさに紛れ氏素性の知れない怪しげな貴族もいっぱい生まれたようだ。前述のキャプテン・モルガンは、そんな時代のヒーローだった。
海賊の力を借りてスペイン(とかポルトガル)に対抗する時代が一段落すると、海賊たちのフリーランス転身がトレンドとなる。昨日の国家事業が犯罪行為になっていたりといった事情もあり、バックアップどころか取り締まりの対象にされたり、海賊たちにとってはなかなかに厳しい状況だったと想像される。画期的なアイデアを賞賛されたニュータイプの物件が、ある日あっさりと違法建築になったりするように。
このような錯乱の時代に、法律って、道徳って、何なんだ? 場合によって理解しコントロールする必要はあっても、盲目的にすがったり忠誠を誓ったりする対象ではあり得ない。じゃ、それに代わるものを…。という訳で、早い話いろんなロールモデルのカタログがあれば便利だろうと思う。てか、そんなものは身のまわりにあふれかえってるんですけど…。
「街/風俗」レベルでのロールモデルはそれなりに存在する。「セレブ」とか〜パリス(ヒルトン)のように自由に、華麗に、みたいな〜。薄っぺらだの何だのと批判することは容易いが、相当数の人にとって、それが何らかのモチベーションなり行動指針になっていることは間違いない。ヴィジョンがないとかはまた別の話。まあ、それもあるけど。何というか、「暮らし」と聞いたとき、人々はヘンに家庭的というか真面目になりすぎる傾向があるように思う。気が付けば俺的に本当に大切なことぜんぶ無視してました。みたいなマヌケを避けること。という訳で、新カテゴリーの意味づけを、ひとりブレスト的に後付けでやってみた。お退屈様でした。