ポスト和風ダイナー

表題は単なる勢いだから、それが何なのかは知らない。むしろ「ポストZENスタイル」とでもしときゃよかったか。 最も表層(=深層)の問題らしく。
「伝統」と言うとクラフト寄りとゆーか「職人芸」の次元に関心が集まりやすい為、(自分的にも反省を込めて)見落とされる部分が多くなる。まあ、だから「あれ何や!」と窓の外を指さし、周囲の視線がそっちに集まった瞬間素早く人知れずパンツを脱ぐといった遊びも成立する訳だけど。
インテリアデザインに限って見た場合、取り敢えずイサム野口のパチモン的ちょうちん照明を吊れば和風です、みたいなノリは流石になくなっており、行灯の時代からの「ローポジションのあかり」というコンセプトそのものが際立って来てないか? よく知らないけど、燭台をテーブルより低い位置に置く西洋的伝統なんて、たぶんなかったんじゃないかと思う。てことは、フロアスタンドを選ぶ場合も、ちょうちんなど「和紙セード」を使った「和の意匠」なんてのは既にさして重要な問題ではなく、むしろプレーンな乳白のポリカーボネートセードなんかを用いた、そっけなくミニマルなキューブの方がコンセプト的にはよっぽどZENスピリチュアルだったり。
格子に象徴されるような、水平/垂直ラインを強調したジャパニーズデザインしかり。格子を成立させている職人技の話と、<すっきりと直線を強調し、陰影を生み出す>というコンセプトを混同しないことが、まずは重要に思える。そして、内臓系(cf.職人芸)情報の価値をちゃんと分かっているということ。

あと余談。いつまで続くのかは謎だけど、コンセプチュアルなグランドデザインというか全体の関係性の整備は、デザインとしては現状むしろ評価されにくくなってないか? 店舗デザイナーの仕事は完成するが建築家の仕事は頓挫しやすい、とか。コンセプトで勝ってビジネスで負ける、とか。そんな流れ。